ブランドの価値は、名前をつけるだけでは生まれない。
こんにちは。THINK CREATIONの鍬田和彦です。
今日は、横浜のブランド柿「浜柿」について考えてみたいと思います。
柿と聞いて、何を思い浮かべますか?
秋の味覚。
田舎の風景。
庭先に実る果物。
スーパーに並ぶ季節の商品。
では、「浜柿」と聞いたらどうでしょう。
横浜という都市の名前と、昔ながらの果物である柿。
この組み合わせに、私はブランドづくりのヒントを感じます。
1. 柿は同じでも、ブランドは同じではない。
浜柿は、横浜で栽培されている柿の総称です。
「富有」「次郎」といった品種に加え、サクサクとした食感が特徴の「太秋」なども生産されています。
特徴は、木の上で完熟させ、食べ頃を見極めて収穫すること。
そして、生産者が品質向上に取り組み、地域の名前とともに商品価値を伝えていることです。
2019年には「かながわブランド」に登録されました。
つまり、単に横浜で柿を育てているという話ではありません。
地域の農産物を、地域を代表するブランドへ育てようとしている。
ここに注目したいのです。
2. 「横浜」という名前には、どんな価値があるのか。
横浜と聞いて、多くの人が思い浮かべるのは何でしょう。
港。
異国情緒。
中華街。
おしゃれな街並み。
都市としての洗練されたイメージ。
その横浜で、農家が柿を育てている。
この意外性そのものが、ブランドの入口になり得ます。
ただし、産地名をつければ価値が高まるわけではありません。
大切なのは、その名前に実態が伴っていることです。
品質へのこだわりがある。
生産者の努力がある。
他の商品と区別できる特徴がある。
その背景を消費者に伝えられる。
こうした要素が重なって、初めて産地名は単なる地名を超えた意味を持ち始めます。
私は、ブランドとは名前をつけることではなく、その名前に対する期待と信頼を育てることだと考えています。
3. 本当の差別化は、収穫の仕方にもある。
浜柿の特徴として興味深いのが、木の上で完熟させてから収穫するという考え方です。
流通の効率だけを優先するのではなく、食べ頃と品質を重視する。
もちろん、完熟収穫には鮮度管理や販売方法などの課題もあります。
どこでも大量に販売することだけが正解ではない。
鮮度や食味を大切にするなら、その価値を届けられる販売方法を選ぶ必要があります。
ここで、経営の視点が重要になります。
商品をつくる。
品質を高める。
売り方を考える。
価値を伝える。
これらが別々では、ブランドは育ちにくい。
商品の強みと、売り方と、伝え方を一つの戦略として考える。
これがブランディングの仕事です。
4. 地域ブランドの課題は、「知っている人」だけの商品にしないこと。
浜柿のような地域ブランドを考えるとき、私が気になるのは認知の広がりです。
地域では知られていても、地域外では知られていない。
品質には自信があっても、購入する機会が少ない。
生産者のこだわりがあっても、消費者には伝わっていない。
こうしたことは、農産物に限らず、多くの中小企業にも共通しています。
良い商品をつくることと、売れる仕組みをつくることは別の仕事です。
例えば、浜柿なら、次のような可能性を考えられます。
- 贈答品としての価値を高める。 横浜らしさを伝えるパッケージやストーリーを整える。
- 生産者の顔が見えるブランドにする。 栽培へのこだわりや、収穫のタイミングを伝える。
- 食べ比べを体験に変える。 品種ごとの食感や甘みの違いを楽しめる企画をつくる。
- 横浜の地域資産とつなげる。 地元の飲食店や観光、地域の催事との連携を検討する。
もちろん、これらは今後のブランド戦略として考えられる案です。実施にあたっては、生産量、販売体制、採算性などの検討が必要です。
重要なのは、柿そのものを売るだけでなく、柿を通じてどんな価値を届けられるかを考えることです。
5. ブランドは、地域の経営資産になる。
私は、ブランディングをデザインや広告だけの仕事だとは考えていません。
ブランドが育てば、商品を指名して購入してもらえる可能性が高まります。
適切な価格で販売できる可能性も生まれます。
生産者の努力が伝わり、次の世代が農業に魅力を感じるきっかけになるかもしれません。
地域に新しい仕事や連携が生まれる可能性もあります。
もちろん、ブランド化すれば必ず売上が伸びるわけではありません。
品質、供給量、販売チャネル、利益構造が伴ってこそ、ブランドは事業の成果につながります。
だからこそ、ブランドづくりには経営の視点が必要なのです。
これは農業だけの話ではありません。
技術力のある町工場。
独自の製法を持つ食品メーカー。
長年地域に根ざしてきた企業。
優れた商品を持ちながら、その価値を伝えきれていない会社。
どの会社にも、まだ十分に活用されていない価値が眠っているかもしれません。
6. あなたの会社にも、「浜柿」はありませんか?
私は、ブランディングの仕事で、最初からロゴやWebサイトの話をするわけではありません。
まず考えるのは、
「この会社は、本当は何で選ばれるべきなのか?」
という問いです。
他社との違いは何か。
お客様が評価していることは何か。
長年続けてきた仕事の中に、独自の価値はないか。
その価値を、誰に、どう伝えればよいのか。
経営者にとっては当たり前のことが、お客様にとっては大きな魅力である場合があります。
しかし、その価値が言語化されず、デザインにも営業にも反映されていなければ、選ばれる理由にはなりにくい。
浜柿から考えたのは、そんなことです。
ブランドは、ゼロからつくるものとは限らない。すでに持っている価値を発見し、磨き、伝わる形に変えることから始まる。
THINK CREATIONは、企業・商品・事業の価値を見つけ、ブランディングとデザインを通じて、その価値が経営成果につながる仕組みを考えています。
あなたの会社にも、まだブランドになっていない価値があるかもしれません。
その価値を、経営の力に変えていきませんか。
横浜のブランド果物
https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/machizukuri-kankyo/nochi/kauaji/nogyo/kudamono.html

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